今回は20ツインパワーC3000XGを何度かセルフメンテナンスしてみましたので、このリールの本体部分に関しての整備手順やメンテナンス時の注意点、またメンテナンス時での消耗部品の状態等をお伝えしたいと思います。20ツインパワーにご興味がある方やリールメンテナンスに挑戦してみたい方は、是非、ご一読下さいませ。
尚、20ツインパワーについてはHGとXGとの使用感の違いやベアリング数を12個に増やすチューンナップ記事等もございますので、購入をご検討されてる方はあわせてご一読くださいませ。
目次
メンテナンスで使う工具類
必要工具類
●ドライバーセット
+1、+0プラスドライバー、T6、T8トルクスドライバーを使います。
左右のボディを固定しているネジはネジロック処理をしており結構キツめですので、細い柄の物は力が掛からずネジをなめてしまうかも知れませんので、ご注意くださいませ。
私はソケットを交換するのが面倒くさいので、プラスドライバーはロングタイプの物をそれぞれ用意しています。
● 12mm コンビネーションスパナ
真直ぐなタイプはローターに干渉するため、めがねレンチの角度が付いているものを使います。
●0.71mm六角レンチ
ドラグ音出シラチェット上部のメインシャフトベアリングガイドを外すのに使います。
● ピンセット
物を掴んだり、ベアリングのメンテで活躍します。
●パーツクリーナー
これ凄く便利です。油分を一瞬で落とせます。
●シマノ純正グリス
ベアリングやギアに使うシマノ純正の汎用グリスです。
今回は純正グリスを使います。
●筆
グリスを塗るのに便利です。毛が抜けないタイプのものをおススメします。
●シマノ リールメンテスプレー
メインシャフト等に使ったりしてます。
●ケガキ針ぽいもの
ベアリングのカバーを取り外す際に必要です。先端が細く尖った硬いものが良いです。
状況によっては必要なもの
状況によってはシム調整が必要です。厚みに関しては色々と用意しておくと安心です。
●ドライブシャフト用シム
ドライブギア軸径及びベアリング内輪にピッタリなタイプです。大きなクリアランス調整向きです。
薄いものからのセットになっているタイプです。
微調整用です。ペラペラなので取扱いには注意しましょう。
●ウォームシャフト用シム
あると便利な工具類
●ダイソー セクションケース18マス(29.5cm×19cm)
これは分解したパーツを区分ごとに分けることが出来るのでおススメです。
●キムワイプ
汚れの拭き取り用です。毛羽立たないので便利です。
●眼鏡洗浄器
これを使うとパーツ洗浄力のレベルがかなり上がります。グリスは落ちにくいので、予めパーツクリーナーで落としておくと効果的です。
コレ、ホントに綺麗になるので強くおススメします!!
パーツ洗浄スプレーで綺麗にしても、これに入れると汚れがモワァ~って出てきます。超音波洗浄した後のパーツを触ると綺麗になったのが分かります(笑)
ベアリングなどのパーツを徹底的に綺麗にしたいならコレは超おススメです!!
●ベアリングリフレッシュセット
ベアリングをサッと洗浄する時にとても便利です。
●ボールベアリングリムーバー
ベアリングの抜き差しやグリスの塗布の時に便利です。ベアリングを突くだけでボディから取り外すことが出来たりととても便利です。
整備手順
※)リールの分解は、メーカーからの保障を受けられなくなりますので、自己責任でお願いします。
今回の整備は本体部分のみです。ローター周りやスプール周りの整備は改めて別記事でお伝えしていきたいと思います。
今回の整備手順では分かりやすくするためにパーツ名称をシマノパーツリストと同じ名称にしています。
パーツ番号については、XGとHGで番号が違っていたりするので明記していません。シマノのパーツリストはこちらから閲覧出来ます。
尚、整備に合わせベアリング数を12個に増やしてみるのも挑戦してみるのも一興だと思いますので、ご興味があれば、こちらの記事もご覧くださいませ。
長くなりますが、ご了承くださいませ。
1.スプールを外す
説明不要かとは思いますが、ドラグ調整ノブを緩めスプールをシャフトから取り外します。
尚、ここで一旦ハンドルを回して回転ノイズの感じ等の状態を一度把握しておきましょう。
2. メインシャフトベアリングガイド部を外す
いよいよ、整備の開始です。
まずは、黒っぽいスプール座金が3枚入っていますので、ピンセットを使って折り曲げないように一枚ずつ取出します。
この座金は抜け防止のため座金内側に3本の爪があります。片方だけで無理に外そうとすると折れるので注意が必要です。
ポイントは、片側をピンセットで持ち上げたら、反対の手でその状態をキープし、座金の対角を再度ピンセットで持ち上げ均等に押し出すようにすると良いかと思います。
尚、座金は厚みが異なったものが入っていますので、順番を覚えておきましょう。
座金が外れたら、六角レンチでメインシャフトベアリングガイドを止めているセットスクリューを取り外します。
外れたら、 メインシャフトベアリングガイド とドラグ音出シラチェット、スプール受(A)をシャフトから取り外します。
メインシャフトベアリングガイド に取り付けてあるベアリングはラチェットバネをピンセットで外すことで取り出せます。
この部分を ダイソー セクションケース18マス(29.5cm×19cm) の一マスに入れておくと分かりやすいかと思います。
3.ローターを外す
ローターを外す前にやっておくことがあります。
ハンドルとハンドルスクリューキャップを予め外しておきましょう!!
ローターを外すと、そのままではハンドルが外せなくなります。
+1精密プラスドライバーを使って、リテーナーとローターベアリングシールを取り出します。
取り外すとローターナットが見えますので、一度ローターナット周辺をパーツクリーナーで綺麗に拭き取り、ローターナットの締め具合が分かるようにローターとローターナットに白い点を打っておくと、取付ける時に楽になります。
12mmめがねレンチを使ってローターナットを外しますが、ローターナットは左ネジになっていますので、時計回りにネジを回して下さい。反時計回りに回すと締め付けてしまいますので注意です。
ローターナットに付属している座金、メインシャフトカラー、Oリングは、とりあえずそのままにしておきます。
この部分は18ステラのベアリングを取付ける事も出来ますよ!!
別記事で紹介しておりますので、ご興味があればご一読くださいませ。
これでローターが外れますので、シャフトから取り外します。
4.クラッチを外す
ここは取扱いに注意が必要なデリケートな部分となっていますので、特に気を付けて下さい。
注意点は以下の通りです。
ローターカラーとクラッチ上部には、撥水加工が施されています。この部分は洗浄スプレーやオイルやグリス等が触れると直ぐに剥がれてしまいます。拭き取りしても剝がれてしまうため、よっぽど汚れていない限り触れないようにしましょう。
クラッチを外す際は、リールを下向け、つまりスプール側が下側に来るようにして取り外します。上向きのままだとクラッチ内部のパーツがバラバラになる可能性が高いです。
ということを踏まえて、取り外しましょう。
まずは、ローターカラーとフリクションリングを外します。手で外すことが出来ます。フリクションリングは千切らないように注意してください。
次に、クラッチのネジを+0精密プラスドライバーで外します。
ネジを緩める際は、一気に一本のネジを緩めて仕舞わずに、全てのネジを均等に緩めた上でネジを取り外していきます。これは片締めによるパーツの変形等を防ぐためです。締め付けの際は、ある程度全てのネジを入れてから、均等に本締めをしていくようにしましょう。
外れたら、クラッチ本体を押さえたままリールを下向きにして、クラッチをシャフトから引き出しましょう。
この時に、クラッチ内部のローターが先に落ちてこないように、シャフトに指を添えながらクラッチを引き出すと、クラッチの内部パーツがバラバラと出てこないと思います。
5.ボディを分割する
さて、遂に本丸まで来ました。
押エ板のネジを+1精密プラスドライバーを使って外します。
押エ板が外れたら、ピニオンギアを引き出しても良いんですが、ここはそのままおいておきボディのネジをまずは外します。
ボディに内ゲリ当リというパーツが付いていますが、これはボディを分割しないと外れないので気にしなくて良いです。
このパーツはボディー分解時に割れる可能性があるパーツですので、分解時はゆっくりと無理な力を加えずに分解し、分解後は作業中に割らないためにもこのパーツを引き出して外しておくことをおススメします。慎重に外しましょうね。
ボディのお尻にT6トルクスドライバーで外せるネジがありますので取り外し、ボディカバーとボディガードを外します。
すると、本体にT8トルクスドライバーと+1精密プラスドライバーで外せるネジが2本ずつ見えると思いますので、まずはこの4本を均等に緩めます。
ボディが半プラということを特に意識して、丁寧に扱いましょう。
ネジロックが塗布されているので、少々きつく締まっていますのでネジ頭をなめないようにご注意下さい。
この時に、ボディのお尻に見えているウォームシャフトカバーの固定ネジはそのままでOKです。
4本のネジを外すことが出来たら、ボディを左右にゆっくりと外します。
乱暴に外そうとすると、ドライブシャフトがシャフトに干渉してシャフトが曲がったり、内ゲリ当リが割れたりするので、焦らずゆっくり優しく外していきましょう。
ボディ内側上部のネジの位置に小さな黒い座金が入っています。また、右側ボディの上部に半円状のフタフランジシールが付いていますので、分割した際に失くさないようにご注意ください。
ボディが分割出来たらドライブシャフトを外しておきましょう。
これで内部が確認出来ますね!
6.汚れ具合等を確認する
ここまで来たら今後のために、一度簡単に中の状態を確認してみましょう。
- 水が混入していないか
水が混入している場合はシール類のチェックが必要そうです。パーツ類に問題がない場合はリールの取扱い方を見直してみる必要がありそうです。 - グリスの汚れ具合
グリスが真っ黒になっている場合は、整備周期を早める方がいいかもです。 - ギアが破損していないか
ピニオンギアを手で回してざっくり歯の傷等をチェックしておきましょう。 - ベアリング周りの汚れ
ここが真っ黒になっていると異物がベアリング内部に混入している可能性が高いです。
7.内部パーツを全て取り外す
メインシャフトを外す
まずはメインシャフトから取り外していきます。
ピニオンギアを引き抜きます。この時に、ギアの下部に曲ゲ座金とスペーサーが付いていますが、ベアリングのグリスにくっついていることもありますので、失くさないようにしましょう。
摺動子ガイド(A)を上側にピンセットで引き出します。続いてメインシャフトを90度起こしてシャフトをゆっくり斜め後方に引き出します。
この後、ピニオンギアの後部の小さいベアリングを上側に取り出します。
ウォームシャフトを外す
右側ボディのお尻にあるウォームシャフトカバーのネジを+1精密プラスドライバーで外します。
ここにも、カバー側から曲ゲ座金と座金の順で入っていますので失くさないようにしましょう。
次にウォームシャフトをブッシュごと引き出します。ウォームシャフトギアはその場に残ると思いますので、これもピンセットで慎重に取り出します。
奥側のブッシュもピンセット等で失くさないように予め外しておきましょう。
中間ギアを取り外す
中間ギア軸の下側が見えますので、そこを上側に突くとボディ上部から出てくるので軸を引き出します。
中間ギア(小)と(大)をそのままピンセットで樹脂製なので傷つけないように注意して取り出しましょう。
中間ギア (小)と(大) の間に(小)側から曲ゲ座金⇒座金の順で入っていますので、失くさないように注意です。
ドライブギアのベアリングを外す
左側はネジで固定されていますので+0精密プラスドライバーでネジを3本外し、ベアリングを取り出します。ベアリングの奥側に座金が数枚入っているので、失くさないように注意です。
右側はベアリングだけですので、内側向けて取り出します。
これで主要パーツの分解が完了しました!!
8.パーツを洗浄し、グリスアップする
ギア類
パーツクリーナーを使って、ギア、軸、座金類、ブッシュの汚れを綺麗に落としましょう。
この時に、紹介しました眼鏡洗浄器があると更に綺麗に洗浄することが出来ます。
洗浄後アルコール分が揮発したら、ギアにグリスを筆等で塗っていきましょう。ついつい厚塗りしたくなりますがギアが動くと外に押し出されて無意味ですので、必要最小限にしておきましょう。
ボディ
パーツクリーナー でしっかりと汚れを落としたあと、他のパーツが付く部分に軽く部分に眼鏡洗浄器
メインシャフト
メインシャフト下部にあるウォームシャフトピンも折角なので引き出して洗浄しましょう。ピンは+0精密プラスドライバーでネジを外せば引き出せます。
洗浄したら、グリスを塗っておきます。シャフト本体はピニオンギア内部を摺動しますがオイルを使うと軽くなります。グリスを使うかオイルを使うかはご自身のスタイルに合わせてチョイスしてくださいませ。
ベアリング
ボールベアリングリムーバーやピンセットにベアリングをはめて、外輪を手でまずは回してみましょう。
ガラガラとかシャリシャリ音がする場合は、グリスが切れていたりコロが摩耗しています。大きなベリングは分解が可能ですので、可能ならば分解してみましょう。
分解するのがこわい場合や分解出来ないベアリングはパーツクリーナーでしっかりと洗浄後、オイルシールの間にしっかりと数回に分けて注入し 、ボールベアリングリムーバーやピンセットにベアリングをはめて 手で何度も回してオイル類を馴染ませます。数分回してみて異音がなくならないようならベアリングを新品に交換する方が良いかも知れません。
グリスをしっかりと注入したい場合は、先ほど紹介しましたベアリングリフレッシュセットを使いましょう!!
●ベアリングの分解方法
ケガキ針等を使ってベアリング外輪内側にはまっているCリングを引き出します。
Cリング端部の片側は針先が引っ掛かりますので、針先を引っ掛けたら、斜め上に持ち上げるように外すと外れやすいかもです。外れた瞬間に飛んでいくので注意です。
今度はカバーを外しますが、このカバーが変形するとベアリングの回転を阻害しますので、慎重に外します。
パーツクリーナーでしっかりとグリス類を落としグリスの表面張力を失くしておきます。外したい側を上に向けて軽くテーブルにトンッと何度か衝撃を与えると意外と簡単に外れます。
片側ずつ作業すると、ミスを減らせると思います。
カバーが外れたら、内部の汚れや油分をしっかりとパーツクリーナーで落としましょう。ここでも、眼鏡洗浄器を使うとかなりキレイに洗浄出来ます。
ベアリングに異物が混入すると回転抵抗や摩耗の原因になるため、ティッシュなどの繊維くず等がないか組む前に最終チェックをしておきましょう。
洗浄が完了したらしっかりとアルコール分や水分を飛ばしましょう。その後グリスをコロに塗布し、何度も手で回しグリスを馴染ませます。この時に ボールベアリングリムーバー を使うと便利です。
これでも回転にノイズが大きく入るようなら新品に交換した方が良いかと思います。
グリスを充填出来たら、カバーとCリングを取付けます。Cリングは片側の端っこを入れたら、爪で順番に反対側まで入れていき半分入ったら反対側の端っこを入れるようにすると良いかと思います。
私はカバーの外側にグリスを薄っすら塗りますが、お好みだと思います。
クラッチ
ここを分解するのを躊躇される方も多いかと思います。ケースの防水加工の関係もありますので、簡単に済ましたい方は、クラッチ内側のローター?スリーブ?(以下スリーブ)をそっと真上に引き出し、黒く付着した汚れをパーツクリーナーで落としたら、薄く低粘度オイルを塗布し組み込みましょう。
クラッチの分解方法
外した状態のままなら金属カバーが付いていますので、ピンセットで外します。カバーの向きも間違わないように注意してください。
外すと、花びらのようなパーツとコロとバネが見えるかと思います。この花びらのようなパーツは刻印が付いている方が外側にくるように取付ける必要がありますので注意です。
花びらパーツを外したら、コロとバネを外します。バネは対象のコロを自分の目の前に持ってクラッチの外周側から見た時に、コロの右側にバネの棒が来るようについています。また、バネの棒は真直ぐ短い方が穴側になります。曲がった方がコロ側になります。
ここまで確認出来たら、恐れるのは撥水加工だけです。
コロ、バネ、花びらパーツ、金属カバーをしっかりとパーツクリーナーで洗浄しましょう。
ケースは裏側の撥水加工にオイルやパーツクリーナーが付着したらアウトなので、綿棒にパーツクリーナーを浸みこませ、汚れを落としましょう。この時に、綿棒の糸が付着したら確実に取り除きましょう。
洗浄が完了したらバネをまず全部入れましょう。真直ぐな方が穴側です。次に花びらパーツを●の刻印が上向きになるようにそっと入れます。
コロを慎重に、手をプルプルさせながら入れます。このときにバネの棒がコロの右側にくるようにしましょう。
全てコロが入ったら、再度、全部のバネがコロの右側になっているか確認し、
ここでバネとかコロが外れなければ、ほぼ成功です(笑)
後はローターをそっと入れましょう。スリーブの向きがあり、テーパーが付いている方が金属カバー側、全周に溝が付いた方が撥水加工側になります。
クラッチにグリスを使うのは絶対NGですので、低粘度オイルをコロとスリーブに薄く塗布するようにしましょう。この時、裏の撥水加工に付かないように注意してください。
9.組む前の一手間
ベアリングやギアの状態ってよっぽどじゃないと、素人には摩耗状態って分からないし、組んでみないとまだ使えるか分かりませんよね。
かと言って全部組んだ後にノイズが走ってるとがっかりすると思います。
なので、ここで一旦面倒くさいですが、それぞれのパーツの状態を確認してみましょう。
一手間ですが、ここでしっかりと確認しておくと原因が見つけやすいです。
1.ピニオンギアの回転チェックをする
ピニオンギアのベアリングを元通りに組んで、右ボディに差し込み回転チェックしてみましょう。サラサラとかシャリシャリするようならべアリングが摩耗していますので交換しましょう。ギアを左右に軽く押してみて、グラグラしないかも見てみましょう。ベアリングの摩耗具合が分かるかも知れません。確認したらピニオンギアは外しましょう。グレーゾーンな判断の場合、後の工程の3.項で確認出来ます。
2.ドライブギアだけ組んで回転チェックする
次にボディにドライブギアのベアリングを元通りに組んで、ドライブギアを取付け、ボディを閉じボディのネジを均等に締めます。ピニオンギアの両端のベアリングを付けてボディに嵌めたら、ローターを被せ、ハンドルを軽めに取付けます。
ハンドルを回転させて、回転がスムーズか確認します。この段階でノイズが走るようならベアリングを交換しましょう。ドライブギアが歪んでいる可能性もありますが、大物と格闘するなどの無理な力が掛かっていないなら、ベアリングの摩耗の可能性が高いと思います。
3.ピニオンギアを取付ける
ドライブギア周りに問題が無ければ、そのままピニオンギアを嵌めて押エ板も取付けます。
1.でノイズが出てた場合、ベアリングを変えるとここで違いが体感出来ると思います。
再度、ハンドルを回してみます。ここでゴリゴリやシャリシャリするようならギアの摩耗等によりギア同士の隙間(クリアランス)が変化している可能性が高いかと思います。ドライブギアとピニオンギアを交換するのが手っ取り早いかもしれませんが、傷等が無ければ使用時間等や掛けた負荷量から交換するかしないかを判断されたら良いかと思います。
ハンドルを押し付けたり、引いたりしてどちら側に隙間が出来ているかチェックして、ドライブギアのシム調整をしておきましょう。ピニオンギア上部のベアリング下側にシム追加することもひょっとしたら必要かもしれません。これは、部品交換をしたとしても部品の寸法公差があるので確認しておくと良いと思います。
特にこの作業は全部組む前にやっておくと、復旧までの時間をかなり短縮出来るかと思います。
私の場合、C3000MHGのウォームシャフトのブッシュをステラのベアリングに交換した時に、ゴリゴリ感が強く出ました。調べてみると、ハンドルに大きなガタが生じ、ドライブギアをピニオンギアに押し付けるようにハンドルを回すと、強いゴリゴリ感が出て、ピニオンギアから離れるように回すと無音で軽く回る状態になることが分かりました。
この時は最終的にピニオンギアのベアリングが摩耗していたので交換した上で、ドライブシャフト右側ベアリング内側に厚さ0.1mmのシムを三枚追加し、左側ベアリングの0.5mmのシムを外して調整しました。今回は、1/100mm代の調整なしで、かなり良い感じのフィーリングになりました。
尚、シム調整はギア同士の動作隙間を調整するためのものですが、このギアの動作隙間のバックラッシュ量をなくしていくと、ギアは重くなり最後には動かなくなります。逆に広くしすぎると軽く回りますが、その分、ガタが大きくなります。軽く動き、かつ、ガタが最小となるギリギリの調整を、何度もシムの厚さを変えて調整してみましょう。最終的には、1/100mm代の厚みのシムが欲しくなると思います(笑)
それぐらい手の感度は敏感ってことなんでしょうね。
4.ボディを分解してウォームシャフト周りのチェックをする
ここまで来たらハンドルを外し、ピニオンギアも外しボディを分解します。その後、中間ギアとウォームシャフトを組んで、ウォームシャフトを手で回してウォームシャフト周りの状態をチェックしておきましょう。
これらの作業で、とりあえず中間ギアとピニオンギアとの接触具合以外は確認出来たんじゃないかと思います。
面倒くさいかも知れませんが、最終的には近道になるんじゃないかと思います。
後は、このままパーツを組んで行きましょう。
10.パーツを組み込む
ここまでお疲れ様でした!!
さて、いよいよ組んでいくんですが組むのは、分解手順の逆に組んでいくことになります。よってここでは、組込み時の注意点等をお伝えしたいと思います。
左右ボディを組む前にギアの動き等を確認する。
右側ボディにドライブギアベアリング⇒中間ギア⇒ウォームシャフト⇒メインシャフト⇒ピニオンギアの順で取付けたら、ここで一旦ギアの位置や動きをもう一度確認しておきましょう。
まずは、組み忘れたパーツがないかチェックしましょう。よく忘れるのが半円状のフタフランジシールと黒い小さな座金です。グリスを薄く塗っておくと外れにくいです。
フタフランジシールは、ピニオンギアの上側ベアリングケースの下にこっそり付いています。
尚、メインシャフトにはそもそも、ウォームシャフトとメインシャフトピンとの動作隙間が設けられていますので、1mm位はガタがあります。
左ボディに内ゲリ当リとドライブシャフトが付いているのを確認して左右のボディを組みましょう。この時、ネジをきつく締めつけ過ぎるとボディが割れますので注意です!!
押エ板を付けたら、回転チェック
ピニオンギアの上部ベアリングを押さえる押エ板を固定したら、一旦ハンドルを取付けます。ローターをシャフトに通しピニオンギアにはめたら、ハンドルを取付けましょう。ハンドルが付いたら、ローターを外し、ハンドルを回してみましょう。
ここで、ノイズが入っているようだとローターを取付けた時には、大きなノイズが発生する確率が高いですので、ん~?って感じたら、もう一度分解する方が良いと思います。
ここで妥協せず、しっかり対応しておきましょう。
ボディのネジの締め具合やグリス量・種類でも変わったりするので奥が深い部分ですが、少なくとも元の状態よりは良くしておきましょう。
尚、ここで問題なければハンドルはそのまま付けて置いてOKです。
クラッチの取付け
クラッチとボディには位置決めのピンが2箇所あります。必ずその位置にきっちりと取付けましょう。この時に、クラッチとボディの間にローラークラッチガイドシールを取付けますが、このシールが潰れたり、はみ出したりしてないかチェックしましょう。
ここでも、回転チェックしておきましょう。尚、この作業は、リールを下向きにして行います。
ローターの取付け
ローターナットは左ネジですので反時計回りに締めましょう。締めたらリテーナーを付ける前に回転チェックしましょう。問題無ければリテーナーを取付けます。
ドラグ音出シラチェットとラチェットバネ
このラチェットの内側に溝があるんですが、ラチェットバネの棒の部分がこの溝に嵌まらない位置にラチェットをズラしておきます。ツインパワーXDC5000XGの時は、ここに嵌まっていてドラグが鳴らなくなりました。ここにはグリスを塗らない方が良いかもです。
整備手順は、こんな感じです。
整備周期について
これは釣行回数や時間にも影響するかと思いますが、1日8時間×月6回程度の釣行で、釣行後は必ずドラグを締めてシャワーで洗い、水分を拭き取るようにしています。この状況で4か月使うとシャリシャリ感が出てくる感じがしています。
購入後1回目のメンテは週4位使ってたと思いますが、6か月で整備してみました。グリスは真っ黒でしかもサーフでライトショアジギングに使ってた関係でクラッチには砂が混じって、花びらパーツにピッチングが発生していました。
2回目はその4か月後ぐらいで、この間はシーバス釣りがメインでしたが、シャリシャリ感が気になり分解するとグリスは黒くなり始めていました。
3回目は2か月後にベアリング数12個化した時ですが、まだ汚れは殆ど出てない感じでした。
C3000MHGをベアリング数12個化した時は使用開始から2か月弱でしたが、中間ギアの部分のグリスが少し黒く変色していたのと、クラッチのスリーブとコロに黒い異物が付着していました。この時は、結局ピニオンギアのベアリングを交換し、シム調整をしました。2か月間弱の使用でしたが、力の強い63cmのコロダイと妻(船長)が格闘したためだったのかなぁ~とか思ってみたりしてます。
以上のことから、週末フィッシングレベルの釣行ペースでも、3か月で整備するのがベターなのかなと考えています。
まとめ
セルフメンテナンスはハードルが高い部分もありますが、やってみるととても楽しいですし、組み上げた後、回転がスムーズになると気持ちがイイです。また、グリスやオイルに拘りだすと奥が深くなること間違いなしだと思います。
私が感じた20ツインパワーのメンテナンスは、ボディが半プラなので組んだ後の再現性にムラが出るのかなとか思ったりしてます。一回のメンテナスで二回バラして組んでみたんですが、一回目と二回目でフィーリングが変わったりしたので、何が違ったのかと考えるとついつい夜更かししてしまいました。
でもキッチリ組めたらスゥ~って回るので、嬉しくていつまでも回してしまうんですよね(笑)
私も昔は釣ること専門でメンテなんて面倒くさくて放置してましたが、良いタックルを買ったのをきっかけにメンテをするようになりました。次の釣行のことを想像しながらメンテするのはとても楽しい時間ですし、タックルに愛着が湧くようになるので、是非、挑戦してみては如何でしょうか?
以上、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!!
また、タックルの簡単メンテナンスの記事や釣行記の記事も書いてますので、良かったらこちらもご一読くださいませ♪